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台本置き場より抜粋

生と死(Life or Die) 

 ←タイプ →斉藤さんちと佐藤さんちの恋愛参観日
【キャスト】

0070    死神
0071    死神 
黒崎 唯    高校生  女
川端 麻斗   高校生  男
朝倉 尚    高校生  男


暗転

音響FI→
照明CI→(少し薄暗い)

舞台中央に座り、0071は空を見ている。
音響FO


0071「死ぬ……生きる……生きてる? ……死ぬ……生きて……生きて……死ぬ」

0071 小さな声で呟いている
0070 上手より登場
     0071のほうを見ないように、呟く


0070「0071。出かけるわよ」

0071「0070…………どこへ?」

0070「下へ。 まだ、足りないんですって」

0071「……そう。じゃあ、しょうがないね」


0071 疲れたように立ちあげる


0070「疲れてるんじゃない? このごろ連続していたし。私一人で行くから」

0071「(声を遮るように)だめだよ、0070だけで降りたら」

0070「なぜ?」

0071「だって、0070は速攻で仕事終わらせちゃうから」

0070「いけない? だって、それが私たちの仕事じゃない」

0071「チャンスを与えてあげるべきだよ。それからでも、遅くないんだから」

0070「なぜ?」

0071「『なぜ?』っていわれても……」

0070「……人の影響を受けすぎているわね」

0071「え?」

0070「悩む。戸惑う。……すべて、私たちには必要のない感情よ。
     意味だけあればいいの」

0071「そんなの……わかっているよ……でも」

0070「でも?」

0071「…………何で人は、自身のぬくもりだけで我慢できないんだろう?」

0070「いきましょう。考えても無駄な事よ」

0071「……うん」


0071&0070上手へ退場。


照明→CI

O屋上(昼)
 四時間目が終わり、昼休みの時間に入っている。
 生徒がまったくいない屋上は、シンとしている。 


黒崎 上手より登場。
   舞台中央に座って、空を見上げる。


黒崎  「明るい、暖かい、
    (下を見て)熱せられたコンクリート、
    (周りを見て)フェンスに囲まれた四角い場所……空」


川端 上手より登場。
   黒崎がいる事に少し驚きながらも、どこに座ろうかと立っている。


黒崎  「……空は青い」

川端  「はぁ? あたりめーだろーがバーカ」


川端 黒崎のほうをちらっと見てから


黒崎  「麻斗(あさと)に言ったわけじゃない」

川端  「あーそーかよ」


川端 言いながら、黒崎の近くに腰を下ろす。


黒崎  「もうすぐ5時間目、始るよ」

川端  「唯(ゆい)こそどーなんだよ」

黒崎  「私は私。学校は学校」

川端  「そーですか」

黒崎  「……なんでここにいんの? 屋上は立ち入り禁止」

川端  「人の事言えんのかよ」

黒崎  「あんたに言ってんの」


川端 溜息をついてから


川端  「ホンットお前って昔っから性格悪ぃな」

黒崎  「あんたは昔から馬鹿よね」

川端  「うるせえな」

黒崎  「ボキャブラリーも貧困」

川端  「ほっとけ!」

黒崎  「幼稚園のころはかわいかったのに」

川端  「それはこっちの台詞だってーの」

黒崎  「言えば?」

川端  「…………」


黒崎 目で何かを追うようなしぐさをとる
川端 空を見ている


川端  「五時間目……なんだったっけ」


黒崎 いぜんと目で何かを追っている


川端  「期末、近ぇよな」


黒崎 川端のほうを見る


黒崎  「なぁに?説教しにきたの?」

川端  「違ぇーよ。俺は純粋なサボりだ。お前こそどうなんだよ」

黒崎  「……私はただ、なんとなくここにいるだけ」

川端  「なんとなくねぇ」


黒崎 何か良いたそうに川端を見る。


黒崎  「あんたさぁ」


黒崎 川端のほうへ歩き、顔を覗き込む
川端 ちょっと後ずさる
黒崎 安全ピンとシルバーのピアスを取り出す


川端 「な、なんだよ」

黒崎 「いい耳してるよねぇ」

川端 「はぁ?!」

黒崎 「ピアス開ける気なぁい? 今なら新品のピアスもつけて、片方1500円!」

川端 「なんでいきなりピアスがでてくんだよ。てかその前に、なんでそんなもんもってんだ?」

黒崎 「MYブームなんだ」

川端 「ピアスすつけんのがかぁ?」

黒崎 「うん。ほら、こーやって……」


黒崎 自分の耳に安全ピンを持っていこうとする


川端 「わっ!バカ!何しよーとしてんだお前! それ安全ピンだろ!?
    あぶねーっての!」

黒崎 「だって質問されたから」

川端 「質問なんてしてねーよ!」

黒崎 「つけるのが?って言ったじゃん」

川端 「お前なぁ……」

黒崎 「冗談だよじょーだん。あ、でもさぁ見てよこれ」


黒崎 耳を見せる


川端 「うわ、なんだお前その耳! ひでぇ……傷だらけじゃんかよ」

黒崎 「ほら、新しそうな傷があるじゃん。
    今日の朝、校章であけようと思ったんだけど、失敗した」

川端 「校章?! 校章……学校の(自分の胸の校章を見せる)これかよ!?」 

黒崎 「そうそう。でもさぁ、校章って案外切れ味悪いんだよねー。途中でやめた」

川端 「普通、初めからやらないって」

黒崎 「血ってさぁ、赤いんだよね。絵の具にないような赤で、周りがそれでいっぱぁい」

川端 「おい、あぶねえぞ、それ」

黒崎 「なんかさぁ、『生きている』って感じ、するんだ」

川端 「生きている?」

黒崎 「そう。血が出るってことは、血が私の体の中を流れてるってこと。
    痛いってことは、痛さを感じてるってことじゃん。
    もし、穴開けて、痛さを感じなかったら、血が出なかったら。
    そう思うと、怖くない?」


川端 自分の耳を押さえながら怪訝そうに


川端 「お前、こんなところにいるより病院行ったほうがいいんじゃねぇか?」

黒崎 「大丈夫。化膿しないように消毒は毎日ちゃんとしてるわよ」

川端 「耳もそーだけど、まずは頭のだよ、あ・た・ま」


川端 頭を軽くたたきながら言う


黒崎 「私はいたって真面目だけど?」

川端 「そーゆー神経がおかしいんだよ」

黒崎 「まぁいいや。あ、そーいやこんなところで開けたらだめだよなぁ。
    コンクリだし、血の始末が」

川端 「やっぱ開けようとしてたんかお前は」


黒崎 少し笑ってピアスをしまう


黒崎 「麻斗は?」

川端 「あ?」

黒崎 「麻斗は、生きてるって気ぃする?」

川端 「さぁな」

黒崎 「何それ」

川端 「わからねえよ。そんなの。
    とにかくお前は病院いけ。このままじゃお前いつか出血多量で死ぬぞ」

黒崎 「ピアスあけて出血多量なんて、聞いたことないけど」

川端 「そりゃ、そうだけどよ」

黒崎 「それに、病院のベットじゃ、空が見えない」

川端 「窓から見ればいいじゃねえか」

黒崎 「屋上から見るのが良いのよ。
    窓からだと、何か空を窓の形に切って貼り付けてあるみたいで、いや」


川端 空を見上げながら


川端 「確かに窓からの空って、狭いよな」

黒崎 「分かっているじゃん」



川端、空を見上げたまま黙り込む

0071 上手から登場。
     死神ルック。
     きょろきょろと周りを見渡した後、二人に気づく
     にこりと笑って近くへ座る

二人気づかない

川端 どこを見ることなく呟く


川端 「何で、こんな所にいるんだろうな」

黒崎 「屋上へのドアが開いてたから」

川端 「そんな事聞いてんじゃねぇよ」

黒崎 「教室にいるのが、つまらなかったから」

川端 「別に……教室にいるのは苦痛じゃなかった」

黒崎 「私みたいに、勉強が嫌いだから」

川端 「昼休みに勉強なんてしねぇよ」

黒崎 「じゃぁ、なぜ?」

川端 「それがわかんねぇんだよ。なんで、おれはここにいるんだろ」

黒崎 「あんたこそ、病院行ったほうがいいんじゃないの?」

川端 「はぁ?」


川端 黒崎を見る


黒崎 「記憶喪失でしょ?それって」

川端 「違ぇよ。……自分で選んだわけじゃないのに、いつのまにかこの世界にいて、 
    いつの間にか……生かされてる。……俺が選んだわけじゃねぇのに」

黒崎 「……そうだね」


川端&黒崎 しばらく無言で空を見る


川端 「いっそ」

黒崎 「いっそ?」

川端 「……いや、なんでもない」

黒崎 「自分で自分を殺すものは、一番弱虫なんだって。誰かが言ってたよ」

川端 「まだ何も言ってねぇだろ」

黒崎 「別にぃ。なんとなく、言っただけ」

川端 「言いたい事あんならはっきり言えよ。そんなんだから、クラスの中でも孤立すんだよ」

黒崎 「別に、1人のほうが好きだから。楽でいいよ」

0071「ええーー!そんなことないよ。一人って、すっごくつまらないと思うなぁ」


二人ギョッとして0071を見る
そのリアクションに、0071笑って手を振る (『チャオ』とでもいいたげに)


川端  「な、なんだよ、お前」

0071「ねえ? 一人ってつまらないよねぇ」

川端  「『ねえ?』っていわれても」

黒崎  「……いつからいたの?」

0071「(困って)ええっと……『何でこんな所にいるんだろうな』あたり?」

黒崎  「まったくわからなかった……」

0071「そりゃあわかんないわよ。普段は見えないようにしてるもの」

川端  「はあ?」

0071「じゃなかったら、こんな格好してる人が学校内に入れるわけ無いじゃない。ねぇ?」

川端  「そりゃ、そうだろうけど」

黒崎  「一体、なんなの?」

0071「私? 私はねぇ……っと、その前にさっきの質問に答えてもらわなきゃ」

黒崎&川端「質問?」

0071「そう。一人で入るのって、つまらないよねぇ?」

川端  「別に」

黒崎  「私は、一人のほうが好き」

0071「本当に? 本当にそう?」

黒崎  「何でそんな事聞くのよ」

0071「だって、人は一人では生きられないじゃない。
     一人だと、自分で作った感情に押しつぶされてしまうのに。
     それなのになんで、一人でいたいと思うの? 愚かだと思わない?」

川端  「何が言いたいんだよ」

黒崎  「あなた、なによ?」

0071「はぁ……やっぱり言わなきゃダメかぁ。私はね……死神」

黒崎  「はぁ?」

川端  「今年の夏は暑かったからなぁ……そろそろ帰ろうかな」

0071「……逃げられないわよ(嬉しそう)」


照明CI→ 薄暗く
音響FI→ 不思議音楽


川端  「なっ」

黒崎  「空が閉じてく」

0071「どう? 驚いた?」

川端  「まさか、こんなこと……起こるわけ無い」

0071「そんなこと言っても、起こっているんだからあきらめなきゃ、ね。川端麻斗くん」

川端  「何で俺の名前を?」

0071「君だけじゃないよ。あなたは黒崎唯さんでしょ? 黒崎唯に、川端麻斗。
     ともに理由は違うけど、あなた達二人はいま、生きる気力を無くしている。
     ううん。ただ死ぬ理由がないから死なないだけなのかもしれない」

黒崎  「死ぬ理由がない、か。確かに、無いわね」

川端  「俺は、別に……そうかもしれないけど、でも何でそんな事」

0071「別に突っ込んでいろいろ言うつもりは無いけど、ある程度の事は分かっちゃうのよ。
     職業柄。知りたくもないんだけどね。この世に希望を持たない人の心なんて」

川端  「職業柄? そんな事、常識じゃ」

0071「常識? それは勝手に人が作り上げたものでしょ? あたしには関係ないよ」

川端  「関係ないって……じゃあお前は」

0071「だからぁ、言ってるじゃない、死神だって。
     ……生を刈り取り、あの方へと捧げる大いなる輪廻の使途。
     死神の0071といいます。以後よろしく」

黒崎  「(つまらなそうに)死神って言う事は、私たち、これから死ぬの?」

川端  「そうか……長かったようで、短かったな、俺の人生」

0071「大丈夫!! 私はね、良くある死の間際にやってくる死神じゃなくて、
     生きる気力が無い人間の魂を刈り取って、天へもって行く係りなの。
     だから、あなたたちまだ死んだわけじゃないのよ」

黒崎  「どういうこと?」

0071「つまりぃ、この世界は死んだ魂と、生きてる人で成り立ってるわけ。
     だからね、生きてる人ばかりが増えちゃうと、バランスが崩れちゃうのよねぇ。
     途中で自分の寿命まっとうしないで自殺して、怨霊みたいになっちゃうのもあるし。
     それじゃあ困るってんで、私たちがいるのよ」


黒崎&川端顔を見合わせる(よく意味がわかっていない)


0071「ま、これは別に理解しなくても良いんだけどね。あたしも良く分かってないし」

川端  「んで? 結局俺達はどうなるわけ?」

0071「だからね。私は生きてる人を刈り取る係りだから、
     生きる気力の無い人を見つけてはせっせと魂を刈ってるの。
     この(カマを出す)カマでね。
     だけど、私は0070と違ってやさしいから、あなた達にチャンスを上げる」

黒崎  「チャンス?」

0071「そう。今から出すクイズに答えられたら、命を助けてあげる」

川端  「クイズ? なんかめんどくせぇな」

黒崎  「別に、私は今死んだって良いけど」

0071「いいからいいから。
     あのね、死神の私が言うのもなんだけど、生きてるってすごく大切な事だと思うよ。うん」

黒崎  「本当、説得力無いわね」

川端  「死神だもんな」

0071「とにかく! いきます。
     題一問『生きているだけでいいはずなのに、なぜ、生きてる理由が欲しいの?』」

川端  「はぁ?」

0071「第二問『体が温かくて、光を見るとまぶしくて、なのになんで、死んでるって思うの?』」

黒崎  「それは」

0071「そして、最後です。『なぜ、いくつもの仮面をかぶっては本当の素顔を隠すのでしょう』」

川端  「なんだよ、その質問。答なんてあるのかよ」

0071「さあてね。とにかくこれが問題。期限は今日中。答えが決まったら、屋上に来て私を呼んでね」


0071何らかのアクション
照明FI→元の色
音響FO


川端  「空が……」

黒崎  「私は別に問題なんていらないわよ。生きてたって、死んでたって、あまり変わらないもの」

0071「いいから、考えてみなよ。んじゃ、解散!」


言いながら、0071下手にかけて行く


川端 「おい! そっちは行き止まり……」


0071下手へ退場


黒崎 「消えた……」


黒崎&川端顔を見合す。


川端 「帰るか?」

黒崎 「そうね(空を見上げて)曇ってきたみたいだし」

川端 「明日は雨かな」

黒崎 「関係ないでしょ? べつに」

川端 「あ? あ、ああ、そうか。……そうだな」


二人 上手へ退場
照明CI→

○廊下(五時間目授業終わり)
生徒たちが何人か廊下へ出て話をしているよう。騒がしい。

音響FI→


朝倉 下手より登場(一人芝居モード)

音響FO

朝倉 「あ、先生。ここの問題が良く分からなかったんですけど。
    ……あ、そうか。ありがとうございました。
   (下手へ帰ろうとして)……え? 黒崎唯と、川端麻斗ですか? 
    はい。四時間目までは確かにいました。
    鞄がありますから、まだ帰っていないと思います。
    ……はい、わかりました。はい。じゃあ次の時間までに」


教師に対して一礼した後。


朝倉 「はあ。何でこんな面倒な事押し付けられなきゃいけないんだろう。
    だったらことわれよなぁ……あーあ。
    後、少しで六時間目のチャイムかぁ。しょうがないよな……しょうがない」


朝倉 上手に向かって歩き出す
0070 上手より登場
    朝倉とぶつかる


朝倉 「す、すいません。大丈夫ですか?」

0070「ええ、たいしたことは無いわ」

朝倉 「そうですか(0070の服に気づいて)あの、父兄のかたですか?」

0070「(笑って)私が見えるのね?」

朝倉 「はあ? あの、大丈夫ですか?」

0070「ええ、大丈夫。それよりあなた、生きてて楽しいことある?」

朝倉 「え?」

0070「ないでしょ? ないのよね?」


0070 言いながらカマを取り出す


照明FI→だんだん暗くなっていく


朝倉 「な、何なんですか! いったい……」

0070「大丈夫。一瞬で終わる。そして、あなたの苦しみは、終わる」

朝倉 「俺の、苦しみが?」

0070「そう。もう何も考える事は無い。
     悩み、苦しみ、そんな現世にある感情は、輪廻の輪の中では無へと還る」

朝倉 「無へと……」


0070 手が振り上げられる瞬間
0071 下手より登場。


0071「0070! なぁぁにやってんの!?」


照明→元に戻す


0070「……0071」

0071「ねえ、君はもしかして、誰か人を探してたんじゃない?」


朝倉 呆然としている


0071「もーしもーし。大丈夫?」

朝倉  「え? あ、そうだ。黒崎と、川端をチャイムが鳴る前に探さなきゃ」


音響→チャイム


朝倉  「げ……」

0071「がんばれぇ」

朝倉  「くそ、あいつら面倒ばっかりかけるんだから」


朝倉 気がついたようにいって、上手へ走って退場。
0070 いまいましそうに0071を見る。


0070「なぜ、邪魔をしたの?」

0071「約束は、約束。まず彼らにチャンスをあげるはずでしょ?」

0070「くだらない。人になぜそこまで期待をかけるの?
     あなたはまだ救えると思っているの?」

0071「そうじゃないけど……だって、彼らは、同じ学校にいて、同じクラスにいるんだよ。
     同じ空間の中に毎日いるのに、互いに生きる気力が無いなんて、なんか変じゃない?」

0070「思考が人に近づいているんじゃない?」

0071「そうじゃないけど……一生のお願い。もう少しだけまって」

0070「……その言葉、私が何回聞かされたと」

0071「あっそういえば0070、さっき良い景色見つけたんだぁ。
     見よう、ねえ、一緒に見よう」


0071 強引に0070を押して、下手へ去って行く。

黒崎と川端(黒崎が先頭)上手より登場


川端 「おい、今授業中だろ?あんまりそっち行くと、先生に見つかるぞ」

黒崎 「そうね」


黒崎 近くに腰掛ける。
川端 座ろうとせず、黒崎をみないで


川端 「さっきの質問だけどな」

黒崎 「なに?」

川端 「一つ目のやつ。『生きているだけでいいのに、なぜ理由が欲しいのか』
    ……言われた瞬間に思ったんだ。ああ、これは俺のことだなって」

黒崎 「それで? 私に何か言って欲しいの?」

川端 「いや、ただ聞いてろよ。一人で呟いてたって、危ない男だろ?」

黒崎 「いいじゃない、もともと……それで?」

川端 「『それで?』って言われても、それで終わりだよ。
    俺には、あの質問の答えなんて分からない。
    俺がなぜ生きているのかも分からないんだから」

黒崎 「ただ生きてるじゃ、何でいけないの?」

川端 「ただ生きるって? なんで?」

黒崎 「『何で?』じゃなくて、生きてるから、生きてるんじゃない?」

川端 「生きてるから?」

黒崎 「死んでたら、生きてないでしょ?」

川端 「お前、自分で言ってる事のわけ分かってる?」

黒崎 「分かってない」

川端 「おい」

黒崎 「だって、私には『自分が生きているのかどうか』が分からないもの。
    ほら、あの二つ目の質問であったでしょ?
    『体が温かくて、光を見るとまぶしくて、なんで死んでるって思うのか?』って」

川端 「なんでだよ。今ここにいるんだから、生きてるんだろ?」

黒崎 「私だって、何度も、そう思ったわよ。でもね、こう思うの
    『この感じてる暖かさや、まぶしさも、感じてると私が思っているだけ……』って。
    だから、ピアスをつけてみた。予期せぬ痛みを感じたなら、私はここにいるんだって思って」

川端 「それじゃあ、今はいるって思えるんだろ?」

黒崎 「……でも、もしかしたら痛みも、私が思い込んでいるだけかもしれない」

川端 「やべえよ、お前」

黒崎 「そう? 私と、あんたと、どこが違うの?」

川端 「どこがって……」

黒崎 「生きるために必要な物が足りないのよ。二人ともね。
    つまりは、私達は欠陥品という事」

川端 「欠陥品か…………そうだな」

黒崎 「とにかく分かる事は、私たちの二人とも、あの質問には答えられないって事ね」


朝倉 上手より登場
   苦しそうに、呼吸を繰り返す。


朝倉 「見、見つけたぁ」

川端 「あ、朝倉……」

黒崎 「朝倉くん。今は、六時間目の途中だけど?」

朝倉 「そ、そんな事は、わかって、る(苦しそうに息を整え)
    何で、君たちは屋上にいないでこんな所で、サボっているんだ!」

川端 「屋上でサボってりゃ良かったのか?」

朝倉 「そうじゃない。わざわざ屋上まで探しにいったのに、まさかこんな所にいるなんて」

黒崎 「ご苦労様」

朝倉 「ありがとう。ってそうじゃなくて、早く教室に戻らないとダメじゃないか」

川端 「別に。今日はもう帰るつもりだったから」

朝倉 「六時間目もサボる気か?」

黒崎 「朝倉くんはなぜ私たちを探していたの?」

朝倉 「なに言ってるんだ。同じクラスじゃないか。授業出てなかったら、心配するだろ?」

川端 「先生に頼まれただけじゃないのか?」

朝倉 「そ、それはそうだけど」

黒崎 「私、今日はもう帰る気だから、今更教室戻る気は無いよ」

朝倉 「1時間だけでも、うけていけばいいじゃないか」

黒崎 「いいじゃない、関係ないでしょ?」

朝倉 「川端くんはどうなんだ」

川端 「俺は別に、始めから、今日はやる気ないし」

朝倉 「君達はどうしてそんなやる気が無いんだ!」

黒崎 「(冗談のように)だって、私もうすぐ死ぬみたいだから。
    今更授業受けたってしょうがないでしょ?」

朝倉 「は?」

川端 「実は俺もそうらしいんだ」

朝倉 「君達は……まさか……心中? 君達はそんな関係だったのか?」

川端 「ちげーよ」

朝倉 「……冗談だね?」

黒崎 「べつに。そう思いたかったら、思ってればいいんじゃない?
    結局明日には、あたしたち二人とも死んでいると思うから」

朝倉 「どういうことなんだ一体」

黒崎 「とにかくそういうことだから。……朝倉くんは気をつけてね。
    黒い服を着た人が見えたら、もう終わりらしいから」

川端 「らしい、じゃなくて、もう終わりだろ。出されたクイズもわけわかんねえしさ」

朝倉 「黒い服? もしかして、さっき校内を歩いていた二人組みのことかい? 
    そういえばあの二人父兄ってわけじゃなさそうだし、そうなると不信人物なのか? 
    これは学校に連絡しなくてはいけないような気がするなぁ。しかし、うーーん」

黒崎 「……もう、見ていたってわけね」

川端 「……あの、朝倉。考え込んでる所悪いんだけどさ」

朝倉 「何?」

川端 「お前、黒い服を着てるやつ見たの?」

朝倉 「ああ。君たちが見た人と同じ人とはわからないけどね。
    確か……0071、0070と、呼び合っていた」

川端 「0070ってのは覚えがないけど、0071って言うとやっぱり」

黒崎 「朝倉くんは、何か言われたの? その二人に」

朝倉 「いや、0071という人にはあまり言われなかったが……
    0070という人には、何かへんな事を言われた気がする」

川端 「変な事? 覚えてないのか?」

朝倉 「覚えているさ。でも、まさか、あんな事を、真昼間から言われるわけ」

黒崎 「あなた、生きる気力がないでしょ? って言われた」

朝倉 「え!」

黒崎 「そういわれたんでしょ? 朝倉くんも。私たちと同じように」

川端 「朝倉が生きる気力がない? 
    まさか、こんな日々が充実しているやつなんてそういないじゃねえか」

朝倉 「……日々が充実しているだって?」

川端 「先生からは信頼されている。友人は多いし、人望も厚い。
    おまけに、成績も良い。本当、うらやましい限りだぜ。俺に言わせてもらえばね」

朝倉 「そうか……川端君には、僕がそんな風に見えるのか」

黒崎 「見えるかじゃなくて、あんた実際そうでしょ?」

朝倉 「そうだね、そう見えるように努力はしているさ」

黒崎 「ほらやっぱり」

浅倉 「……でも、なんでそれで充実してるなんて楽観的に見られなきゃいけないんだ? 
    お前らに、お前らみたいに無気力に毎日生きている人間に、俺の苦しみがわかるのかよ」

川端 「朝倉?」

朝倉 「先生の前ではひたすら小さくなって、友人たちの前では謙虚に、作り笑いは忘れずに。
    一日に三時間の予復習と、部活の計画表作り。
    頼まれた仕事にも嫌な顔浮かべずに、どこにも波をたたせないように、
    自分を殺して、殺して、殺して
    ……それで、毎日充実してるなんていわれちゃあ、世話ねえよなぁ」

黒崎 「立派ね」

川端 「なんで、そんなに周りに合わせようとするんだよ。適当にやってれば良いじゃねえか」

朝倉 「適当に? ああ、そうだろうな。適当にやれればいいんだろうな。
    俺だって、高校に来た時はそう思ったさ。
    中学までの真面目で、疲れるだけの日々とはおさらばしようとな。でもだめだ。
    中学の連中がほとんど通っているここじゃあ、自分を変えることなんてできやしない。
    いつの間にか、俺は、自分をより一層縛り付けているだけだったんだ」

黒崎 「『なぜ、いくつ物仮面をかぶっては本当の素顔を隠すのでしょう?』」

朝倉 「え?」

川端 「なんだよ、いきなり」

黒崎 「(ぶっきらぼうに)あの死神の三つの質問。
    最後のひとつだけ、あんたと私には当てはまらなかった。
    でも、これで、分かった。朝倉の事を言っていたんだって」

朝倉 「なぜ、いくつ物仮面を……? 
    ……そうか。仮面か。
   (自嘲気味に)確かに、仮面をかぶってちゃあ、俺がこんなに苦労してても、
    誰もわかるわけがないよなぁ」

川端 「お前には分かるか? この問題」

朝倉 「知るかよ。どうせ俺はもうどうでもいいんだ。
    正直嬉しかったんだよ、あの人から『無へと還る』といわれたときはな。
    俺は、もう何も苦労をしなくていいんだって思った……」

川端 「朝倉お前」

黒崎 「ふざけるなよ?」

朝倉 「は?」

黒崎 「自分が生きてるって感じてるならそれで良いじゃねえかよ? 
    人に対して波風立てないように接するのに疲れてるなんて、
    ただ、お前が他人に嫌われるのがいやなだけだろ? 
    感じたことあるか? 私は生きているのか分からない不安感を。
    誰に聞くこともできない。聞いたとしても返ってくるのは、嘲笑とともに紡がれる
    『あたりまえだろ』の言葉だけ。そんな思いを抱いた事があるのかよ!」

朝倉 「そんなこと、あるわけないじゃないか。大体君、口調が女じゃないぞ」

黒崎 「んな事関係ねえだろう? 結局お前は逃げてるだけなんだよ! 
    自分の本音を相手にさらすことがいやで、仮面をかぶって、
    そして、その中で、自分の本音が伝わらないって嘆いているただの馬鹿なんだよ」

朝倉 「そんなのは君だって同じ事だろ? 
    君が、クラスの中で自分の本音を語った事なんてあったか? 
    いつも一人だけ違うような顔をして黙って座っていて、
    それで自分がこの世に存在しないような気がするだって? 
    そんなのは一人でいるからじゃないか。」

川端 「……なんか違うんだよな」

黒崎&朝倉 「何がだよ」

川端 「いや、お前ら二人とも……俺とは違う」

黒崎 「わけわかんねえこといって話止めるなよ」

朝倉 「川端くん。後で話は聞くからね」

黒崎 「ほら、そうやってまた仮面をかぶる。本音のお前はどこにいるんだよ」

朝倉 「何を言うんだ! 人は他人にあわせて生きていかなきゃ生きていけないんだ。
    もし君が、生きてるって感じたかったら、誰とでもいいから話せばいいじゃないか。
    一人で黙っているんだったら、何にも解決するわけないだろ」


川端 居心地悪そうにしていて上手へ退場


黒崎 「偉そうな事いいってんじゃねえよ! 自分は本音で人に語れねえくせによ。
    愛想笑いで『そうだね』なんて知った顔で頷いて、
    それで本当に会話しているって事になるのかよ? 
    受け答えだったら、機械だってできるだろ!?」

朝倉 「だったら君はどうなんだ。自分がいるか、いないかなんて誰にだって分かる事だろう? 
    そう思い込んで自分は他人とは違うんだと陶酔しているだけなんじゃないのか?」

黒崎 「陶酔? それはお前だろ? 何が苦労だよ。
    お前が自分で勝手により集めて、それに耐え切れなくて苦しんでるだけじゃねえか。
    だったら全部棄てちまえば良いだろ? 誰が困るんだよ。
    お前がいなくて、この学校がなくなるわけじゃないだろ? 
    部活がつぶれるのか? 先生はノイローゼーにでもなるのか? 
    ただ取り巻きの数が少し減るだけだろ? そんな事が怖いのかよ」

朝倉 「……怖いさ。一人は、いやだ」

黒崎 「(勝ち誇って)それが、お前の本音だろ?」

朝倉 「……ああそうだよ。多くの人の中で生きていなけりゃ、俺は俺でなくなるんだ。だ
    から、どんなに苦しくても、俺は、俺の周りから人が消えるのを防がなきゃならない」

黒崎 「あたしは大勢の方がいやだね。他人の中じゃああたしは消えてしまうから」

朝倉 「一人で何ができるんだ」

黒崎 「大勢いたって、何もできやしない。
    それよりも、大勢の中ではあたしという存在が薄くなって行く。あたしはそれが怖い」

朝倉 「確かにそうかもしれない。
    だけど、一人ではつまらない事まで考えてしまうだろ? 
    君は結局、自分が生きているのが分からないじゃないか」

黒崎 「たしかにね。……でも、今は少し生きている実感がある。久しぶりに熱くなれたし」

朝倉 「そ、そういうものか?」

黒崎 「大声出すのは健康にも良いしね」

朝倉 「たまには、そうやって誰かと思い切り話してみるべきだよ」

黒崎 「それはあんたも同じでしょ?」

朝倉 「う、うん。そりゃあ、そうだ」

黒崎 「別に、また相手になってあげてもいいけど? 間違ってるのはあなただし」

朝倉 「いや、僕はまだ論破されたわけでは無いからね。今度また君に再挑戦するよ」

黒崎 「いつでもどうぞ」

二人 少し笑う
0071&0070下手より登場


0070 「(0071に)なんでわざわざこんな所に来て、
      電柱の修理なんて見学しなきゃいけないのよ」

0071「そんな事言ったって、0070楽しんでたじゃん。
     『何で感電死しないのかしら?』とか言ってたくせに」

0070 「そんな事言ってないわよ」

0071「『あそこから落ちたら死ぬのに』とも言ってたよね」

0070 「とにかく、早く仕事終わらせて帰るわよ
    (二人に気づいて)あら、二人とも、こんな所にいたの?」


0070 カマを取り出す。


黒崎  「だれ?」

朝倉  「0070、さんですね。たしか」

0070 「そう。死神の、0070です。あなたたちの魂を刈り取りに来たわ」

0071「だから、チャンスをあげてからだって」

0070 「よけいな事は言わないで。
     これ以上時間を与えたって無駄よ。結局はこのカマの餌食になるんだから」

0071「そんな事言わずにさぁ」

黒崎  「……ねえ、あなた達、少し薄くなってない?」

0070 「失礼な。闇より深いこの黒服が色あせる事なんて」

黒崎  「そうじゃなくて、全体的に」

朝倉  「そういえば……あっち側が、透けて見えるような」

0070 「どういうこと?」

0071「つまりぃ、私たちの姿が見えにくくなってるってわけね。
     やったよ0070、この二人、生きる気力が復活したみたい」

0070 「まさか!」

黒崎  「え? でも、私はあの問題の答えを」

0071「(黒崎の声遮って)ほーらね。だから言ったじゃない。チャンスをあげれば大丈夫なんだよ。
     うんうん。やっぱり人間もまだまだすてたもんじゃないねぇ」

0070 「(悔しそうに)フン。確かに生きる気力はあるようね。
     だんだんとあたしたちの姿は見えなくなって行くでしょう。
     でも0071。まだ一人いるわよ」

0071「え? ……あ、川端くんは?」

黒崎  「え?」

朝倉  「そういえば……ああ、そうだ。
     僕は君たちを教室に戻すために探していたんだった。川端くんがいなかったら……」

黒崎  「無駄ね」

朝倉  「くぅぅ。どこだ? どこにいるんだ?」

黒崎  「さあ? ……あれ? 死神の二人は?」

0071「私達はここにいるよ」(飛び跳ねる)

朝倉  「もう、どこかに行ったんじゃないか? もしかしたら、川端くんの所かも」

0071「だから、ここにいるって言うのに」


黒崎&朝倉 声なし会話


0070「無駄ね。もう二人に私たちの姿は見えないわ。……さ、川端を探しに行きましょう」

0071「うん。んーんと。屋上、かな?」

0070「そうね。……まさかとは思うけど、急ぎましょうか。万が一を考えて」

0071「あたしに任せてよ」

0070「あ、ちょっと、0071」

0070&0071下手へ退場

朝倉 「川端くんが行きそうな所というと、やっぱり」

黒崎 「屋上でしょうね」

朝倉 「やっぱりそうか。よし、いこう」

黒崎 「何で私に言うの?」

朝倉 「川端くんは、君の友達だろ?」

黒崎 「関係ない」

朝倉 「なにいってるんだ! もしかしたら、彼は死ぬかもしれないんだぞ」

黒崎 「また、他人にいい子に見られようとするわけ?」

朝倉 「誰かを助けたいと思って何が悪い!」

黒崎 「……私を巻き込まないで欲しいんだけど」

朝倉 「もしついてこないなら、僕の実力で君を運動会のリレーアンカーにする」

黒崎 「私走らない」

朝倉 「それでもする。……絶対にする。確実に」

黒崎 「わかった」


黒崎 上手へ歩き出す。
朝倉 ガッツポーズ
黒埼 ふり向いて


黒崎 「覚えとけよ」


黒崎退場


朝倉 「え? 黒崎さん?」


朝倉 びびりながら続く

照明CI→
○屋上

川端 上手から登場


川端  「結局ここかよ……」


0071 下手から登場
川端 気づかない。


川端  「ここに存在してるとか、他人がどうとか、関係ないだろうに。
     なんで、俺は生きてるんだろう? その事の方がよっぽど」

0071「なぜ、君は自分のぬくもりだけで我慢できないの?」

川端  「……死神か? 俺、やっぱり死ぬのかねぇ」

0071「ねえ、なんで?」

川端  「自分のぬくもり? どういう意味だよ」


0071 無言で川端に手に触れる
川端 驚いて手を引っ込める


川端  「な、つ、冷たい!?」

0071「私達は、この世の者では無い存在。
     どんなに太陽に熱せられようとも、この身体は冷たい闇の中の星の冷たさ。
     この体が、この世と、私たちを冷酷に断ち切ってくれる。
     ……なぜ自分のぬくもりの価値を、信じようとしないの? 
     あなたも、黒崎さんも、朝倉くんも。自分が暖かいって事を、なぜ誇れないの?」

川端  「そんなの…………あたりまえすぎるからだろ」

0071「あたりまえ?」

川端  「暖かければ生きている。冷たければ死んでいる。
     でも、そんな事は当たり前すぎて、そんな事を、誇ろうとなんておもわねえよ」

0071「私は、生きているのかな?」

川端  「そんなこと……俺に分かるかよ」

0071「人のように暖かくは無い。普通の人には見えない。感じられない。
     私達は、生きているのかな?」

川端  「しらねえよ! 俺に聞くなよ。俺は、自分が生きている理由が」

0071「理由がなくては生きてはいけないの? 私は、理由でだけしか生かされていないのに」

川端  「理由でだけ?」

0071「そう。人を刈るという理由だけで生かされている。もし、もし仕事が完全に終わったとしたら。
     そんな時が来るかはわからないけど、その時が、私たちの死。
     それ以外、私たちが生きる理由なんてない。……そんなのがうらやましい?」

川端  「それは……」

0071「なぜ、今生きる理由を求めるの? 
     君は、後何年も、多くの経験を得て、
     いろいろな意味を見つめて、選ぶ事ができるのに」

川端  「でも、今は俺には生きる意味なんて」

0071「昔はあったの? 
     …………もし、今すぐに生きる意味が欲しいのなら、あたしと一緒にくれば良いよ。
     そうすれば、あたしが生きる意味を与えてあげる。
     新たな死神として存在するという意味をね」

川端  「一緒に行けば?」

0071「そう。簡単だよ。あたしの手を取ればいい。
     このカマで、すぐにでもこの世から断ち切ってあげる」


0071 川端に手を伸ばす
照明FI→暗め
川端 0071に手を伸ばす


0071「さ。ぬくもりのない世界へ行きましょう」

川端  「俺は…………」

0071「どうしたの?」

川端  「…………(伸ばしかけていた手を握る)やっぱ俺…………」


照明CI→


0071「うん。生きている意味は、自分で見つけないとね」

川端  「ごめん」

0071「ううん。やっぱり、人は、自分のぬくもりを誇るべきだよ。
     一番確実で、一番やさしい生きている証拠なんだからさ。
     意味なんかなくたって、体が温かいうちは、生きていていいんだよ。
     いや、生きていなくちゃいけないんだ。」

川端  「あんたは、死神がいやなのか?」

0071「そんな事ないよ。ただ、私は信じたかっただけだから。人の強さを」


0071いいながら、下手へ歩いて行く。


川端  「あ、おれ、あの質問の答え」

0071「答えはもうもらったよ。君なりの。君だけの答えを。
     君だけじゃない。黒崎さんにも、もちろん朝倉くんにだって」

川端  「俺たちなりの? どんな?」

0071「言葉になんて出せないよ。そうしたら、ただ、陳腐になっちゃうからね」

川端  「死神、あんた体が」

0071「そろそろ時間か。んじゃ、ばいばーい」


0071 下手へ去って行く。


川端 「消えちまったか……礼は……いいんだよな。別に、何してもらったわけでも……」


川端 下手へ頭を下げる
黒崎&朝倉登場


黒崎 「なにやってんの?」

川端 「お前にはかんけーない」

黒崎 「そう。……朝倉くん、別に、どうでもないみたいだけど?」

朝倉 「あれ? ま、まあ良かったじゃないか。ほら、もう授業も終わる頃だけど、
    とりあえず欠席に鳴らないように顔だけでも出しておこうよ」

川端 「もう欠席扱いだろ?」

朝倉 「いいからいいから」

黒崎 「朝倉」

朝倉 「なに?」

黒崎 「覚悟しとけよ」


黒崎 上手へ退場


川端 「なにやったのお前?」

朝倉 「いや、べつに……ちょ、ちょっと黒崎くんさっきのは」

川端 「おい、まてよ」


朝倉&川端退場

○放課後の廊下(放課後)

照明CI→
音響CI→エンディング


黒崎&川端&朝倉 下手から登場


朝倉 「結局先生からは説教か。ついてないなぁ」

川端 「大体、お前が言い訳しないからこうなるんだぞ」

黒崎 「説教なんて、右から左に聞き流しとけばいいのよ」

朝倉 「僕を君たちと一緒にしないでくれ。まったく、まさか指導室行きとはね。
    どんなお話が聞けるのやら」

川端 「達っていうなよ、おれだって、指導室に呼ばれんのは初めてなんだからよ」

黒崎 「別に、たいしたことないわよ」

朝倉 「だから、君たちと同じにしないでくれ」

川端 「達って言うなってーの」


三人、声ない言い合い。
0070&0071下手から登場


0070「はあ、結局。このカマで魂をかる事なかったわけね」

0071「よかったよねぇ」

0070「よくない! こうしているうちにも、バランスはどんどん悪くなるのよ」

0071「そうだけどさぁ。やっぱり。せっかく生きているんだから、
     楽しんで生きていて欲しいじゃん?」

0070「ほんとにあなた人に……」

0071「大丈夫だって。どんなに憧れたって、私は私として生まれた瞬間から、
     私なんだしね……」

0070「……死神にだって、いいことあるわよ」

0071「なになに~例えば?」

0070「わからないけど。だから、別に」

0071「あれ? もしかして、慰めようとしてる?」

0070「さ、早く次の仕事をもらいに行くわよ。失敗した報告しなくっちゃ」

0071「0070照れてる~」

0070「照れてない!」


死神×2と三人 すれ違う


0071「(振り返って)お元気でねぇ」

0070「早くきなさい」

0071「はいはーい」


三人に手を振りながら、0071上手へ退場


黒崎立ち止まって上手を見る。


朝倉 「とにかく指導室に行ったらだねえ……黒崎さん、どうしたの?」

黒崎 「……べつに。なんか声かけられたような気がしたから」

川端 「ボケたな」

黒崎 「……殺すか?」

川端 「いやいや冗談だよ。……人間に憧れてるどっかの誰かが、声でもかけたんじゃねえか?」

黒崎 「あんたこそ、ボケてる」

川端 「うるせえな」

朝倉 「ほらほら、行くよ君達。さっさと終わらせて帰らないと。僕はいそがしいんだ」

黒崎 「はいはい」

川端 「んじゃ、いきますか」


三人思い思いに下手へ去って行く。
音響だんだんと高くなって
溶暗


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